濁川温泉 「新栄館」

道南地方は古くから栄えたことから温泉も古くから利用されてきており、開湯時期の早いものが多い。この濁川温泉郷もその1つだが、その中でも最も古いのがこの新栄館だ。

創業は1900年と100年以上の歴史を持つこの施設はなんとも古い旧館を持つ建物で、浴室は創業当初から使い続けているもの。

岩をくりぬいて作った浴槽が3つ浴室に並んでおり、浴槽をはじめ床などにはびっしり長年蓄積されてきた温泉の成分がついている。

お湯は熱めで湯量を調整して温度調整をする仕組みだが、そのお湯が源泉からわき出してから浴室に入ると浴室の壁際にある水路を通り各浴槽へ注ぐというもので実に個性的でありまさに源泉かけ流しそのもの。

さらにすごいのは洗い場で、2人がせいぜいというスペースしかなくしかもシャワーどころかカランすらまともにないという洗い場。ではどうやって洗うのかと言えば、洗い場用の湯壺のようなものに源泉が引きこまれており、そこから柄杓でお湯を掬って桶にとる。このままでは熱いので割る必要があるのだが、割るのに使うのがプラコンに入った水。水と言ってもこれも温泉で冷泉が水として用意されているのだ。この2つの温泉を使って温度調整をして頭を洗ったり体を洗ったりするというのが新栄館流であり、まさに明治時代の温泉そのものだ。

しょうしょう面倒ではあるが、こうして昔の苦労を感じることができ、今ではなかなか味わえるものではない。

もちろんシャワーのある浴室が新館の方にもあるのだが、こちらは女性用となっている他、新栄館を知る女性客は好んで混浴の旧館を選ぶそうだ。

温泉自体も良質で肌にいいとされる。入浴後かなり長期間肌がツルツルになっていたが、場合によっては宿主がビンに源泉を詰めて「肌にいいから」と持たせてくれることすらあるんだとか。

建物も旧館は忘れかけていた古きよき時代をそのままに残し、かつての繁栄ぶりをしのばせるものともなっている。隠し部屋などもあり、昔は漁で大儲けした漁師が隠し部屋でバクチをやったという過去があるんだとか。森町や濁川温泉と共に歴史を刻んできたのがこの新栄館と言えるだろう。

この新栄館で88か所目となるが、これだけ温泉に入っている中でもなかなか出会うことができない最上級の温泉と言っても過言ではないだろう。

泉質もさることながら、宿主の心配りで心も体も温まるというのが新栄館である。

 

住所:茅部郡森町字濁川49

日帰り営業時間:6:00〜20:00だがはっきりは決まっていないそう 

定休日:無休

日帰り入浴料:400円

地図

 内湯の様子

 創業当初からの天井は崩れそうだが1度も崩れたことがないそう

 右の湯壺のような部分から柄杓でお湯を汲み、左の蛇口から冷泉を出してプラコンに貯め双方で割って使うという洗い場

 なんとも懐かしい旧館内部

 2階へ続く階段も実に懐かしいが基本旧館には宿泊させていないんだとか

 

レカ郎ジャッジ

施設 温泉自体 景観 秘湯度 アクセス 総合評価

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